この度、ヨコハマ・フットボール映画祭2024は、10月12日(土)の映画祭開幕に先駆けて、サッカー界、映画界の有識者による審査会を実施しました。
熱気あふれる討議の結果、長年、地元で親しまれていたサッカーチームLGチータ―ズがソウルに移転し、残された安養のサッカーファンが、新クラブFC安養を誕生させるまでの苦闘を描いたドキュメンタリー『FCスカヴァティ 赤から紫へ』がYFFFアワード2024 グランプリに輝きました。10月12日の上映時にはナ・バル監督、ソン・ホビン監督を迎えてのセレモニーが行われます。 また、ベスト監督賞には、フランス人でありながら、イングランドのサッカーシーンを変革し、名門アーセナルを無敗優勝に導いたアーセン・ヴェンゲル監督が選ばれました。
YFFFアワード2024 受賞結果
グランプリ 『FCスカヴァティ 赤から紫へ』
ナ・バル監督、ソン・ホビン監督 2013年 韓国映画
審査員特別賞 ナショナル・シアター・ライブ『ディア・イングランド』
(ジェームズ・グレアム監督 2023年 イギリス映画)
ベストチーム賞 イングランド代表
(ナショナル・シアター・ライブ『ディア・イングランド』)
ベスト監督賞 アーセン・ヴェンゲル
(『アーセン・ヴェンゲル Invincible』)
ベストプレイヤー賞 ディエゴ・マラドーナ
(『アフター・ディエゴ』)
ベストサポーター賞 RED CHEETHAS & A.S.U RED
(『FCスカヴァティ 赤から紫へ』)
スペシャルメンション 『トリオ~セクステッド』の6名の審判に
YFFFアワード2024 審査員 コメント(50音順)
今井純子 日本サッカー協会リスペクト委員会委員長
『ディア・イングランド』はサッカーの母国で代表チームを進めていく上での葛藤が実話に基づきよく描かれていました。そのなかで成果主義の弊害だったり、人種差別、ジェンダー差別がしっかり扱われている一方で、すごくユーモアもたっぷりで楽しめました。
『ビューティフル・ゲーム』はホームレス・ワールドカップのコンセプトがしっかり表現されていて見ごたえがありました。
『アーセン・ヴェンゲル Invincible』ではヴェンゲル監督の、サッカーにかける情熱と葛藤、圧倒的なマネージメント力が心に残りました。
平辻哲也 映画ジャーナリスト
『FCスカヴァティ』と『ディア・イングランド』はサッカーの勝ち負けを越えた価値が描かれています。特に『FCスカヴァティ』は同じサポーターとして共感する部分がありました。突然、地域からサッカークラブがなくってしまう喪失感や悲しみ、サッカーがなくなった日常にはコロナ禍を思い起こすものもあります。地元に新たなにチームを立ちあげるサポーターたちの強さにも感服しました。
『ディア・イングランド』は3時間超えの舞台ですが、プレーシーンなど随所に工夫があって、エンタメとして飽きさせません。イングランド代表の歩み、PKを巡るトラウマ、それを乗り越えるドラマがユニークに描かれていて、感動的でした。
三原勇希 タレント/MC
『FCスカヴァティ』は単純にすごく面白かったです。地域に根付いたチームがあることの幸せを感じましたし、とてもドラマチック。そしてサポーターひとりひとりのキャラクターが映画の大きな魅力になっていました。彼らの行動が全て正しいかと問われると「そう」とは言えないのですが(笑)。
『ディア・イングランド』は、イングランドの国家的心理と、チームの心理的な改革とのつながりをポイントに描いている脚本が、舞台化にも効果的だと思いました。笑えて楽しい!
『トリオ~セクステット』はネガティブな印象になりがちな審判の仕事ぶりをじっくり見 られて、サッカー好きとしては観ておきたい一本ですね。